【名盤】小澤征爾、32歳のチャイ5と禿山の一夜

名盤レビュー

小澤征爾が32歳にしてシカゴ響を振った一枚。チャイコフスキーの交響曲第5番とムソルグスキーの禿山の一夜のカップリング。どちらもシカゴ響の管楽器の良さが遺憾なく発揮された好演だ。

第一楽章は金管楽器の響きが黄金のように輝かしく、弦楽器も艶やかで美しい。大変歌心のある演奏。演奏者の息遣いまで聞こえてくる優秀録音で、古さを感じさせない。
第二楽章の郷愁を誘う有名な旋律は説得力のあるテンポ感で歌うように進行し、大変に美しい。クラリネットやファゴットのソロ部分も泣かせる。
第三楽章。早めのテンポで躍動感とともにちょっとミステリアスな雰囲気もある。
第四楽章は小澤なりの表情がつけられており、全体として雄大な印象を受ける。フィナーレはさすがに豪壮だ。

禿山の一夜(リムスキー=コルサコフによる改訂版)は色彩感が豊か。やや粗削りなところもあるがそれがかえってムソルグスキー的な世界観にマッチしているように思う。小澤の録音としてはおそらくこれが唯一という意味でも貴重な記録になっている。

レコーディング:Jul. 8, 1968 (Tchaikovsky), Aug. 9, 1968 (Mussorgsky)
Orchestra Hall, Chicago

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